昭和飛行機での経験は、私どもの半生の中のほんの一年余りにすぎなかったが、その印象は非常に鮮明に脳裏に焼きついている。慣れない工場労働や寮生活を、よく無事に通り過ぎて来たものと、今さらのように思うのである。再会ののち、この文集を編集する最後の段階になって、当時私どもをまわりから見守っていて下さった工場の方々、また地元の方々のおことばをいただけたらということになり、現在の昭和飛行機工業株式会社を訪問した。幸いあの当時からずっと昭飛にお勤めでいらっしゃるK様にお目にかかる事が出来て、当時勤労課長であられたH様、学徒課長であられたO様のお手紙をいただけたのはまことに幸運であった。また当時の二寮の女主人で、今年六十歳になられるE様、今度の再会のきっかけを作って下さったE様からのおことばをいただくことが出来て、心から感謝している。

 

 

 

テキストはすべて原文のままです。)