TV「二十八年目の少女達」を観て

  (C.Y.三回生・旧姓M

 

なにがなんだか判らない

けれど

なんとなく晴がまして嬉しくて

胸張って歌った

海ゆかば水漬く屍と

 

山ゆかば草むす屍

命あらば

神風鉢巻きりりと締めて

飛行機づくりに明け暮れた

オクニのためです何ごとも

 

耐えぬお前が悪いと云われ

慣れぬ手つきでハンマー握る

我等 虜囚の

模範学徒でありました

 

なにがなんだか判らない

けれど

或日突然戦争が終り

ボロ服纏って学校に戻った

奪われた年月どうしてくれる

三ツ指突いて謝らせたい

オクニは疾うに消え失せて

なんの音沙汰もあらざりし

 

なにがなんだか判らない

けれど

知らぬ間に子供が生まれ

気付いたときには

地球は汚れて

どちらを向いても

子供に食べさせる物は無かった

 

ままよ このまま

虜囚のごとく繋がれて

地球と共に滅びるのか。—

死にたいお方はどうでもよいが

伊達に重ねた齢でなければ

いつか知らぬ間にとはもう云わせぬ

なにがなんだか判るまで

自分の頭で考えよ

しかと その目で見たものを

詠う前に声にせよ

誰にもきこえる声にせよ

 

かさこそ鼠が鳴くような

嘆きの唄など聴きあきた

 

Yさんは女流俳人で第一回冬草賞を受賞、句集に「七彩」(東京美術発行)がある)

 

 

 

 

 

※文中の個人名はイニシャルに変更、その他のテキストはすべて原文のままです。)