高女二期生の一部から四期生までが動員された昭和飛行機工場は、青梅線、立川駅から四つ目、昭和前駅のすぐ近くで、主にダグラス輸送機を作っていた従業員約一万五千人の大工場であった。工員さんたちが次々と戦場に行き、手薄になった職場を男女の中学生で埋めようというので、武蔵高女のほか、十数校の中学生や女学生、総数二千七、八百人が動員されて来ていた。
この工場の主力は第六工場で、そこには二千トンプレスという巨大なプレス機があった。これは関西のある工場と、この昭和飛行機と、日本にただ二つしかないもので、これがある限り日本は戦争に勝つ、と説明されて、私たちはそれが何をどうするものかわからないながら、信じた。昭飛での作業はこの第六工場を中心に、いろいろな場所に分散されて行なわれ、“神風”の鉢巻をしめた女学生たちは失敗をくり返しながらやがて工場での仕事に慣れていった。
(※テキストはすべて原文のままです。)